ヨウ素・ヨウ素化合物

ヨウ素

ヨウ素はヨードとも呼ばれるハロゲン元素の1つで、常温で金属光沢を有する固体です。昇華しやすく独特の臭気があり、熱せられると紫色の蒸気を発生します。
ヨウ素の物性
原子番号: 53
元素記号: I
原子量 : 126.9
比重  : 4.93(固体)
融点  : 113.7℃
沸点  : 184.5℃

ヨウ素は、体内で新陳代謝の調節・促進をおこなう甲状腺ホルモンの主要構成成分であり、人間の成長に必須の元素です。脂質、糖質、蛋白質の各代謝を促進させ体脂肪を燃焼するため、肥満を防ぐ働きもあります。

ヨウ素の1日の必要摂取量は成人で約150μg(わかめ2g)で、ヨウ素を豊富に含んでいる海藻類をよく食べる日本人は、欠乏することが少ないといわれています。

しかし、海産物に乏しい国や地域では、ヨウ素の摂取不足による甲状腺肥大や知能障害、発育不全等のヨード欠乏症が深刻な問題となっています。

ヨウ素の生産国である日本は、ヨード欠乏症に苦しんでいるモンゴル、ネパール、バングラデシュなどの国に支援を行っており、千葉県では平成9年から平成13年までの5年間、モンゴル国へヨード欠乏症対策としてヨウ素を供与してきました。

ヨウ素の世界生産量は年間21,600t(推定)で、そのうち日本が35%を占め、チリに次いで第2位の産出国です。日本国内ではそのほとんどが千葉県で生産されています。このように、ヨウ素は世界的には大きく偏在して生産されています。日本の生産量の80%以上は輸出され、資源小国の日本にとって世界に誇れる大変貴重な天然資源です。

ヨード欠乏症 (IDD : Iodine Deficiency Disorders)

ヨウ素は生体必須元素の1つで、海藻や魚介類などの海産物に多く含まれており、これらを食べることによって体内に取り込んでいます。したがって、海産物を常食している日本ではヨウ素が不足することはほとんどありません。しかし、海から遠く離れた国などではヨウ素が不足し、ヨード欠乏症に悩まされている人々が数多くいます。

ヨウ素は甲状腺で作られるホルモンの構成成分であり、体内のあらゆる細胞に作用してその成長と活性化を促しています。したがって、ヨード欠乏症に陥ると、発育不全、知能障害、神経障害など、様々な知的・身体的発育障害、喉元の甲状腺が大きく腫れる甲状腺腫などの症状が起こります。

現在ヨード欠乏症の危険にさらされている人々の数は、世界の総人口の30%にあたるおよそ16億人にものぼるとされています。そして甲状腺腫の発症者は、およそ7億6,000万人、重度のクレチン症を含む脳障害をもつ人の数は、およそ4,300万人いるとされ、世界で問題となっているビタミンAや鉄欠乏症などの微量元素欠乏症の1つとして重要視されています。